一般的に、タンスを買うときには、カラーやサイズ、値段を見ることが多いと思います。
勿論それでお気に入りのものが見つかればOKなのですが、これから教えるチェックポイントを押さえれば、これまでより良い品質の納得いくお買い物ができます◎
それでは、ひが家具の販売員直伝「失敗しないタンスの選び方」を見ていきましょう!
[ポイント1] 抽斗(ひきだし)の構造
まず見てほしいのが、抽斗(ひきだし)の構造です。
箱組構造
箱組でない構造
1枚目の写真が、おすすめの「箱組」という構造です。
この抽斗の場合、前板に箱状の抽斗内部材がネジ留めされています。
対して、箱組でない抽斗というのは、前板に「コ」の字状の抽斗内部材が付きます。
つまり、箱組の場合は、前板と抽斗内部材が「面」で接合されているのに対し、箱組でない場合は、「線」で接合されています。結果として箱組の方がより頑丈な造りと言えます。
抽斗で最も壊れやすいのがこの部分ですので、箱組(四方囲い)構造か否かは要チェックです。
※但し、高級タンスなどでも、前板部分と抽斗内部材が一体で作られている場合もあります。
抽斗の接ぎ方にも注目しましょう。
おすすめは「蟻組接ぎ(ありぐみつぎ)」です。
木と木を組む伝統的な技法の一つで、組み合わせる事により反りを止め合い、強度な接着をします。
見た目も面白く、誰でも簡単に見分けることができますし、強度は他の作りと比べても優れています。
より丈夫さを追求したい方は蟻組を選びましょう。
[ポイント2] 抽斗の底板
タンスが壊れるケースとして次に多いのが、”底板が抜ける”ということです。
抽斗の底板が抜けないような構造としては、底板の取り付け方が大変重要です。
取り付け方の中でも「ベタ底」という構造はおすすめです。
ベタ底
上げ底
普通、抽斗の底板は少し上げ底になっていて、抽斗の側板と底板には数mmの段差があります。
しかし、ベタ底の場合は完全にフラットの為、底板が抜ける心配がありません。
この構造だと抽斗の開閉がスムーズですし、総地板でない場合は、下の段の引出しの中の衣類を傷める心配もありません。
さらに、もう一点。厚みが厚ければ厚いほどより頑丈な底板と言えます。
[ポイント3] 総地板仕様
総地板仕様とは、地板が奥の壁板まである構造です。
(壁板から1cm~2cm程空いている地板もありますが、これは空気抜きの役割となります。)
総地板仕様
総地板でない仕様
タンスを買うときに抽斗を抜くことはほとんどないと思いますが、ここが重要で、本体の強度や密閉度、底抜けの原因に大きく関わります。
|総地板仕様のメリット|
・タンス本体の強度が増します。
・タンス本体の密閉度が高まります。
・抽斗の底抜けの心配がありません。
・引出しの底とその下の抽斗に入っている衣類が擦れないので傷みません。
・引出しの衣類が上の段の抽斗に引っかからないので、開閉がスムーズです。
[ポイント4] 抽斗の精度
「抽斗にはレールがついている方が良い」と思っている方は多いと思いますが、高級な婚礼タンスや桐タンス見ていただければ明らかで、ガタツキが無く「精度が高い」抽斗の作り方をされているタンスは、スライドレールなど無くても抽斗はスムーズに開閉でき、隙間がなく密閉度がより高い為、桐材の調湿効果が存分に発揮できます。
ただ、冬物など厚手の衣類を収納するのに適した深い抽斗の場合、衣類を収納すると重たくなり開閉しづらい為、スライドレールがついていた方が使いやすいというのも事実です。
また、レールは「スライドレール ローラータイプ」と「3段引きスライドレール(または、フルスライドレール)」の2種類あり、後者の方が抽斗を奥まで引き出せるためおすすめです。
スライドレールなし
スライドレール ローラータイプ
3段引きスライドレール(または、フルスライドレール)
ポイント5 桐材
チェストに最適な材質といえば「桐」です。
特にシルクや和服などの高価な衣類を収納するには、桐で出来たチェストがベストです。
なぜなら、桐には防湿・防虫効果があるからです。
桐は通気性が良く、湿度を一定に保つ”防湿効果”があり、虫が嫌う「タンニン」を多く含むことにより、防虫効果も持ち合わせています。
このタンニンは、お茶などに含まれる渋みの成分で、防虫・防腐の働きがあり、近年特に注目されています。
多湿な気候風土をもつ日本では、この性質を利用して日本古来の伝統的な技法で桐のタンスを作ってきました。そのため、「桐タンス」というワードをよく耳にすると思います。
このように、桐のタンスには、衣類を守る効果があります。
桐によく似たファルカタ材には上記のような効果はありません。
上記のポイント5つを押さえると、とても良い品質のタンスを選ぶことができます!
ぜひ良いタンスを永くご愛用ください^^